気仙沼漁師カレンダーとか、リアス・アーク美術館とか【2016気仙沼海中貯蔵の旅‐3】

 2017-02-04
  前編「北欧とかクロアチアとか気仙沼ニッティングとか




仙沼の女将衆を語る上で、もうひとり、欠かせない方がいるのだそうです。
それは斉吉商店の女将、斉藤和枝さん。

ちなみにあとの二人は、今日のガイド知子さんと、つなかんの女将、いちよさん。いちよさんは去年の記事に登場してます。
本当はもっとたくさんいるのかもしれませんが、僕が知っているのはこの3人なので、僕的気仙沼3大女将、ということで。
ちなみに3人ともかなりお美しいです(選定基準そこかも!)


さて、今日お邪魔した斉吉商店は気仙沼一の廻船問屋(船の世話をする船主代行業)からはじまって、現在は水産加工業として、サンマの佃煮「金のさんま」や「ぶっかけ海鮮丼」などで全国に数多くのファンを持っているお店。

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今日はこの斉吉商店の2階にある「ばっぱの台所(おばあちゃんの台所)」でメカジキの料理体験とランチを楽しむのです。
この「ばっばの台所」は予約専門の食事処。大きな家族のようにみんなで一緒に食べるお昼ごはんを2日前までの事前予約制で提供しています。

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この日の主役はメカジキ。
メカジキは「吻(ふん)」と呼ばれる剣のように鋭く尖った長い角みたいなのを持った魚。
カジキマグロとして販売されることもあるので、マグロの一種と思われがちですが、ぜんぜん違う種なのだそうです。
このメカジキ、カツオやサンマと並ぶ気仙沼のトップブランドの一つで、全国漁獲量はナンバー1(→気仙沼メカジキ

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僕はあまりグルメではないし、料理もしないので全くわからないんですが、このメカジキ、巷ではあまり高級な食材とされていないそうなのですが、ここで食べたものは刺身も煮つけも絶品!!!

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特に煮つけの作り方は和枝さんが直々に教えてくれました。
まあ僕は遠巻きにみとれてただけですが。

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この和枝さん、さっきの気仙沼ニッティング立ち上げの時も中心となって活躍したり、気仙沼の女将の会、つばき会でも、もちろんリーダー的存在。

その和枝さんが手にして熱弁するのが「気仙沼漁師カレンダー」。

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このカレンダーは気仙沼つばき会のおかみさんたちが気仙沼の漁師のカッコよさを知ってほしい、とつくったもので、全国カレンダー展で経済産業大臣賞にも輝いたことのある名物カレンダー。

気仙沼の女性にとって漁師さんたちは永遠のヒーロー。
「気仙沼の宝」「とにかくカッコいいんです~!」‥‥って、ちっ、うやらましいぜ。
でも今年はちょっとお茶目でかわいいバージョンだということなので、それなら僕もなれるかな、と思って買ってみました。。。

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ランチが終わると、ツアーのメンバーは東京へと戻るのですが、僕は今年もここでみんなを見送ることに。

♪ けんかをやめて~ ふたりをとめて~ 私のために争わないで もうこ~れ~以上~ 

僕のアタマの中には、河合奈保子のあのヒット曲「けんかをやめて」が流れていました。   
だってもう昨日のような無垢な4人じゃないから。
ストックホルム、ドブロブニク、気仙沼。
彼女たちとそれぞれすごした時間は、どれもかけがえのないものだったけれど、僕はやっぱり選べない。いろんな意味で!
そんなわけで新幹線の4人席ではるか、美玲、ガッキーと向かい合うことはできないのでした。

今年も結局選んでくれなかったのね、とはるか。
だから来年も来てもらうことになったから、と美玲。
なんなら来年も3人順番でいいわよ、とガッキー。

女を克服したらしたで、まだまだ修行は続きますね。



さて、一行から離団した僕は、以前からぜひ一度見てほしい、と言われていた「リアス・アーク美術館」へ。

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ここは気仙沼市街から少し離れた高台にある1994年に開館した公立美術館。
もともとは東北・北海道を中心としたアーティストの現代美術作品などを紹介する美術館だったのですが、震災後は「東日本大震災の記録と津波の災害史」という常設展示を新設、あわせて公開しています。

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この「東日本大震災の記録と津波の災害史」で展示されているのは、この美術館の学芸員が被災現場で撮影した写真203点、収集した被災物155点、歴史資料等137点ですが、その展示手法が非常に特徴的なのです。

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ひとつ目はここに飾られている写真。
ここにある写真は、被災地の外から来た報道陣が、ピカピカのスニーカーを履いて望遠レンズで撮影をしているものではありません。ここにあるのは自らも被災者であった学芸員たちが、着の身着のまま泥まみれになって、まさに命懸けで、時に涙を流しながら現場を歩いて写したものばかり。
そしてひとつひとつの被災現場写真には、このように撮影者による長文のキャプションが添えられています。

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『2011年3月29日、気仙沼市浜町(鹿折地区)の状況。
津波被災現場を歩くと、目にする光景の非現実性、あまりの異常さに思考が停止してしまう。常識に裏付けられた論理的な解釈ができず、一瞬、妙に幼稚な思考が顔をのぞかせる。「巨人のいたずら…」、などと感じたりするのだ。実際、そんな程度の発想しかできないほどメチャクチャな光景が果てしなく続いていた』 ⓒリアス・アーク美術館

被災現場を五感で知っている撮影者だからこそ、現場に立った人間しか味わえない感覚や思考が、まさに生々しい言葉で記されています。この言葉の力の強さに、これらの写真に添えられた言葉を一度読み始めると、すべての写真のキャプションを読まずにはいられなくなってしまうほど。



もうひとつは学芸員が被災現場から拾い集めた被災者の家財や思い出の品。
それらの横には、被災現場でそれらが発していた声なき声を基に、学芸員が創作した物語が添えてあるのです。

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『平成元年ころに買った炊飯器なの。じいちゃん、ばあちゃん、わたし、お父さんと息子2人に娘1人の7人だもの。だから8合炊き買ったの。そんでも足りないくらいでね。今はね、お父さんと2人だけど、お盆とお正月は子供たち、孫連れて帰ってくるから、やっぱり8合炊きは必要なの。普段は2人分だけど、夜の分まで朝に6合、まとめて炊くの。
裏の竹やぶで炊飯器見つけて、フタ開けてみたら、真っ黒いヘドロが詰まってたの。それ捨てたらね、一緒に真っ白いごはんが出てきたのね・・・夜の分、残してたの・・・涙出たよ』 ⓒリアス・アーク美術館


客観性を重んじる博物館学的な立場からは、展示物に主観やフィクションが入り込んでいいのか、という意見もあるようですが、この美術館はあえてそうした手法を選んでいます。
その理由は、この取り組みが将来この地域で再び想定される地震や津波災害に向けた防災教育や減災教育のためのきっかけとなることを目的のひとつとしているから。
人の命に関わることだからこそ、それを頭で理解するのではなく、身体が震えるような、気がついたら涙が出てくるような感覚にさせることが必要だ、という判断から、異例ともいえるこうした直情的な手法がとられています。


そしてその狙い通り、これは・・・正直泣けて泣けて仕方なかったです。

家のタイル、
鉄くずのようになった自動車、
赤いランドセル、
3時33分で止まった時計、
泥だらけのミッキーマウスのぬいぐるみ・・・

館内は撮影禁止だったので、借りた写真以外を紹介することはできませんが、この美術館は、ぜひみてほしい。

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それからもうひとつ、ここに行って初めて知ったことがありました。
それは「ガレキ」という言葉は、被災地の人々にとって正しい表現ではない、ということ。
瓦礫とは、本来瓦片と小石とを意味し、転じて価値のない物、つまらない物を表す言葉です。
そのためここでは被災現場から収集した物品を「被災物」と呼んでいます。

この美術館は私たちに問いかけます。被災者にとって被災物は「価値のない、つまらないもの」なのでしょうか?それらは破壊され、奪われた大切な家であり、家財であり、何よりも、大切な人生の記憶なのではないでしょうか、と。

おっしゃるとおりですね。。。



僕は社会派を気取るような人間ではありませんが、ここは知覧の特攻平和会館、信州塩田平の無言館とともにぜひ皆さんに行ってほしい場所だと思いました。



<2016年 11月20日訪問 このシリーズ完>




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コメント
こんばんは。
メカジキのお刺身、とてもおいしそうですね!
私もぜひたべてみたいです。
【2017/02/04 18:38】 | QooAIBO #- | [edit]
刺身もおいしかったけど、煮つけが絶品でしたよ。

産地に近いから新鮮なんでしょうけど、食べたことのないやわらかさでした。
【2017/02/04 21:34】 | Wanderlust (ワンダーラスト) #- | [edit]
被災地だからこその美術館
現場だからこその展示物
被災物をアートとして、記憶を残し、伝える。
これほど存在意義を持った美術館が他にあるだろうか。

・・・なんて、社会派を気取ってみましたf^_^;)
【2017/02/05 15:24】 | とりよた #- | [edit]
あの文章だけじゃ10%も伝えきれないんで
機会あったら、まずは行ってみて。

新幹線でそのまま降りずにいけばすぐでしょ。
【2017/02/06 09:28】 | Wanderlust (ワンダーラスト) #- | [edit]












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