たかがラグビー、されどラグビー。【RWC2019 オーストラリアvsジョージア観戦記】
2019-10-18
僕の高校の校技はラグビーでした。田舎の公立の男子高だったのですが、3年間、毎年冬の体育の授業はすべてラグビー。生徒は全員マイラガーシャツを持っていました。
僕はラグビー部ではありませんでしたが、同級生は花園にも出ていて、前年優勝の天理高校に2回戦で敗れたものの、高校代表にも3人が選ばれていたくらいです。
(ちなみにRWC2019の日本誘致委員長だった真下昇さんは、僕の高校のOBで、国体で優勝しています)

そんなわけで、ラグビーのルールはだいたいわかるし、柔道部の友達に地面にたたきつけられたり、サッカー部のアタリのキツさにグラウンドの上で何度もうめいた記憶もありますが、相手のタックルを鮮やかにかわしてトライを決めたときの、雄たけびを上げたくなるような高揚感も知っています(まあ、年に何回もありませんでしたが)。
けれども高校を卒業すると、ラグビーはいつの間にか僕のまわりから姿を消し、遠く離れた存在になっていたのでした。
そんななかやってきたのがRWC2019(ラグビーワールドカップ™2019日本大会)。
「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」というキャッチコピーを従えて、世界最高峰の20チームと多くのファンが日本中を駆け巡る44日間。
観戦チケットも人気で容易には手に入らない中、ラグビーのことを忘れかけてた僕のところに、幸運にもそのレポート取材の機会が訪れたのでした。

🏉 🏉 🏉 🏉 🏉 🏉 🏉 🏉 🏉
10月11日金曜日、静岡エコパスタジアムでのオーストラリアvsジョージア戦。
翌日から東海・関東地方に史上最強クラスの台風19号「ハギビス」が訪れようとしている中、僕は新幹線で掛川に向かったのでした。

掛川で新幹線から東海道線に乗り換え、スタジアムの最寄りの愛野駅で下車します。

駅前にはおもなしエリアがあり、地元静岡のグルメ屋台やステージ、キッズラグビー体験コーナーや日本文化体験などがあり、観戦前の人たちで賑わっています。

オーストラリア代表、ワラビーズシャツのおにーちゃんたち。
「一番」「日本」「合格」・・・
富士山のフォトスポットの前には着物姿のおねーさん(ベビーカーがあるので、おかーさんですね)。

日本文化体験コーナーで着付けてもらったのでしょう。
彼らはワールドカップはもちろんのこと、日本そのものも満喫しているんですね。
― RWCが来たら、世界中からファンがやって来て、チームと一緒に日本中を周遊するよ。
そんなことを聞いても、開幕前は本当かな、と半信半疑でいたのですが、本当でしたね、想像以上です。
スタジアムに入る瞬間の高揚感。

母校が甲子園に出場して、初めてアルプススタンドに足を踏み入れた時のことを思い出します。
スタンドにはたくさんの制服姿。

みんなすごく楽しそう。
いいなあ、こんな体験、なかなかできないよね。
ラグビーワールドカップが素晴らしいと思ったのは、出場国の選手やサポーターと、日本のホストタウン(公認キャンプ地)や開催都市の人々との草の根交流がとても自然に行われているところ。
こうした国際交流は、もちろんサッカーでもオリンピックでもあるのですが、ラグビーが一番深くて厚いと思うのは気のせいでしょうか。
小笠原総合運動公園エコパスタジアムは、つい先日、日本がアイルランドを下し、熱狂に包まれた場所。

台風が迫り、ときおり横なぐりの雨も拭きつける中、この日も3万9802人の観客で埋まりました。

そしていよいよ両チームの選手が入場、国歌の斉唱です。

最初にジョージア国歌、続いてオーストラリア国歌。
不覚にも試合が始まる前からウルッときてしまいました。
なんだろう、このグッとくる感じ。
僕のまわりにワラビーズサポーターが多かったからなのかもしれませんが、横から、うしろから、そして前からもオーストラリア国歌「Advance Australia Fair(進め、美しきオーストラリア)」 の斉唱が聞こえてきます。
日本戦のスタジアムで、君が代を唄いながら涙を流している人たちの気持ち、今はすごくよくわかります。
これがホンモノの国際大会、ってやつなんでしょうね。
さて、ゲームはD組のオーストラリア(世界ランク6位)対ジョージア(同13位)。

すでに1次リーグ突破を決め1位通過を狙うオーストラリアと、勝てば同組3位となり次回W杯の出場権を手に入れられるジョージア。
下馬評では圧倒的に優位とされるオーストラリアが開始早々から相手陣内で怒涛のように攻めますが、ジョージアも堅守で応戦、膠着状態が続き、前半は10-3、オーストラリアのリードで折り返します。

スタジアムはワラビーズサポーターの黄色が目立ち、オーストラリアがゴール前に攻め込んでは阻まれ、攻め込んでは阻まれるたびにあちこちから歓声やらため息やらが上がります。

しかし彼らが素晴らしいのは、ジョージアのプレイにも惜しみなく拍手を送ること。

高校時代、ラグビー部の監督でもあった体育の先生(母校OBで真下さんとともに国体優勝したフィフティーンの一員)が、
「ラグビーは紳士のスポーツだ」
と常々話していたのが、RWC2019がやってきて、初めて本質的に理解できたような気がします。
試合が終わったらノーサイド。敵味方を分けていたサイドはなくなり、お互いの健闘をたたえ合う。
それは理解していたつもりでした。
けれどもその根底には、ノーサイドの前から選手もファンも、相手への深いリスペクトがあるからこそのノーサイドだったのだ、と。
さて、RWC2019ではすっかりおなじみになったハーフタイムのカラオケタイム。
この日はBon Joviの「Livin' On A Prayer」ですよ!
これはうれしかったなー。
1986年リリースのBillboard全米No.1ソング。
リアルタイムで聴いてた世代だから(笑)
そのほか、インジュアリータイム(プレーヤーのケガの治療などで試合を止めている時間)にはブライアンアダムスの「Summer Of '69」。
この選曲のセンス、素晴らしい!
ウェーブ、はじまってますやんか!(笑)
試合はジョージアが後半1トライをあげるも、地力に勝るオーストラリアが終盤突き放し、27-8で勝利。

オーストラリアは勝ち点16でD組の暫定1位、ジョージアは4位以下が決定し、残念ながら次回大会の出場権を手に入れることはできませんでした。
本当はこのあとのノーサイドの光景を楽しみにしていたのですが、残念ながら台風の影響で予定より早めに会場を後にすることになりました。

でもそれはもう、見なくてもわかります。
ノーサイドの笛と同時に両軍が歩み寄り、肩をたたき合い、敗者は勝者を称え、勝者も敗者を心からリスペクトする。
そしてファン同士もハイタッチをかわし、街に繰り出してハイネケンで夜中まで語り合う。
僕がこんなところでわざわざ書かなくても、もう日本のファンはそんなシーンを何度も目にしているはずです。
RWC2019がやってきて、僕たちはラグビーというスポーツ、そして文化の素晴らしさを初めて本質的に知ったのかもしれません。
🏉 🏉 🏉 🏉 🏉 🏉 🏉 🏉 🏉
「たかがラグビー、されどラグビー」
母校のラグビー部の横断幕には、そんな言葉が書かれています。

これはラグビーの日仏交流を追ったドキュメンタリーとして、1984年に放映されたテレビ番組のタイトルだと言われています。
その後、京都の伏見工業を全国屈指の強豪に育てた山口良治先生(ドラマ『スクール☆ウォーズ』のモデルとしても有名)の著書などにも使われ、ラグビーの世界では有名な言葉として知られていますが、実は僕の記憶の片隅にもずっと残っていた言葉でした。
1984年といえば僕の高校時代。
もしかすると、当時ラグビーを指導してくれた先生が、その言葉の本当の意味と一緒に、どこかで教えてくれていたのかもしれませんね。
「たかがラグビー、されどラグビー」。
このRWC2019をきっかけに、ラグビーから遠く離れていた僕が感じたように、日本中のみんなが、ラグビーの素晴らしさを感じてくれるといいな、と思いました。
<2019年10月11日観戦>
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富士山の絶景朝食とか、倉敷まで2300円とか 【2018-19 冬休み青春18たび-1】
2019-02-23
年末年始の旅のはじまりは、どうしてもこのカットが多くなります。
東京駅、朝5時半。
高々と掲げるのは青春18きっぷ。
冬だからあんまり寒いところには行きたくないので行先は西か南が多くなります(冬だからこそ寒いとこ行けよ、って話もありますが…)。
そして冬休み期間中は、ご存知、青春18きっぷの発売期間中なので、これ1枚あればどこにでも自由自在。大阪の港の女に会うつもりだったけど、ちょっと気が変わったので広島の港の女にでも会いに行くか!とか、ふつーにできちゃうのです。
そんなわけで今年も12月28日、東海道線の2番列車で(1番列車で行かないところが青春18きっぷ伝道師のテクですよ!)東京駅を出発したのでした。
今回の目的地は、なんとなく中国四国、そして九州。
7月に大きな被害をもたらした西日本豪雨のことが少し頭に残っていたので、特に観光被害が大きかった倉敷とか愛媛の南予あたりを巡って勝手に観光復興支援しようと思っていたのですが、地図を見ていたら八幡浜から船で臼杵まで渡りたくなっちゃったので、最後に九州が加わった、という感じです。
ま、観光復興支援と言っても何かするわけではありません。
秋の北海道と同様、テキトーに観光しながらその魅力を面白おかしく発信するだけなんですけどね。
車内でウトウトしながら外を見ていると、小田原を過ぎて、相模湾が見えるあたりで夜が明けてきます。

青春18きっぷで遠出を計画する場合、初日は寝不足で列車に乗って、ずっとウトウトしながら行けるところまで行く!というのが鉄則。
この日も朝3時半に起きて、4時半に家を出て、5時半過ぎの東海道線に乗るために睡眠時間は3時間くらいでしたが、このくらいがベストです。このコンディションだと移動中も半分以上ウトウトできるので、意外と知らないうちに遠くまで運ばれて行く感覚になります。
が、この日はいつもと少し状況が異なるのです。
朝8時、僕はいつもの18きっぷたび@東海道線ではほとんど記憶にない富士山を目の前にした場所に降り立っていたのです。

その目的は、さくらえびの朝食。

静岡の富士市に住む旅友の女子に
今度静岡通るよー、朝だけど!と話したら、
じゃあ、朝食一緒に食べましょ❤
とお誘いを受けたのです。
(秋の札幌でもそうだったけど)近頃、なぜか朝食のお誘いが多い・・・
おかしい。
20代30代の頃はディナーのお誘いばっかりだったんだけど、だんだんランチのお誘いが多くなってきて、とうとう朝食になっちまった。
このまま行くといずれデートは全部早朝散歩とかになりかねんぞ。。。
ホントは田子の浦にすごくおいしいさくらえびのお店があって、そこは朝からやってるんだけど、残念ながら年末年始で休みだったのよー
そう言って彼女(以下、富士富士子)が連れて行ってくれたのは富士川沿いにある「富士川楽座」。

ここは高台から富士山を見渡せる人気の道の駅なんだそうです。

ここなら朝からやってるから、ということで富士山を目の前にしたカウンター席でさくらえびとしらすご飯の朝食。

おおお、いいじゃないか富士川楽座!
朝食デートも悪くないね、さわやかすぎて妖しさは全然ないけど。
ちなみにこの富士川楽座、空中から富士山の絶景が楽しめる、この観覧車「Fuji Sky View」が人気ということでしたが、このブログの愛読者のみなさまはご存知の通り、僕は乗りません。あしからず。

しかもこの観覧車、シースルーのゴンドラが8台もあるんだそーな。
富士山見るのになんでわざわざシースルーにせなあかんのや。どうかしてる。
まだ時間もあることだし、せっかくなので、地元の人間しか知らない穴場を紹介する、という富士子の案内でやってきたのが茶畑と冨士山のビュースポット。

あ、そこじゃまだ電線が・・・・・
という富士子を「いや、いいんだ、富士子・・・」と制して、僕が撮った1枚が上の写真。
いやあ、いい電線だ!
最近、知人の電線女子の影響で、ムダに風景に電線を入れてしまうことが増えた気がします。
きっと彼女はこれを見て喜びで悶絶することでしょう。
しかし本当の茶畑+富士山のベストショットはこっちだそーです。

こっちにもいい電線、入ってるけどね。
そのあとは、近くの高台にある岩本山公園へ。
梅や桜の時期は、富士山とのコラボレーションが素晴らしい場所だそうですが、反対側の駿河湾の眺めもなかなかでした。

そんなわけで、ながーい東海道線のいい寄り道ができました。
まだあと10時間くらい電車に乗るけどね。

夕方前に雪の関ケ原を越えて、本日の目的地倉敷に着いたのは夜の10時前。

青春18きっぷ1日分、2300円でここまで来たぞ!
この倉敷、とくに真備町は西日本豪雨で大きな被害を受けたところ。

その影響で一時は観光客も大きく落ち込んでしまった倉敷の魅力を、この日本に恋する伝道師が発信しまくりますよー
という予定なのですが、この日はさすがに疲れたので早めに休みます。
明けて翌日。

さっそく朝の美観地区を散策してみます。

なかなかいいぞ、朝の美観地区!

人影も少なくて、いい写真がたくさん撮れそう。

と思って倉敷美観地区の象徴とも言える大原美術館の前まで来てみると・・・

マジかよ、年末年始休館!
大原グループだけじゃなくって、このあたりの観光施設は軒並みお休みになってるみたい。
ダメじゃん、日本に恋する伝道師、風祭!
<2018年12月28日訪問 つづく> 続き⇒倉敷美観地区の清少納言とか、水島工場地帯のホテルB-クラとか
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