郡上おどりのひと 【岐阜県・郡上八幡】
2014-08-19
初めておどりの時期に郡上八幡を訪れたのは、2012年の8月12日のことでした。郡上には以前も来たことがあったのですが、ゴールデンウィークの時期だったので、いつかおどりのシーズンにもう一度ここに来たい、と思っていたのでした。
青春18きっぷを使って朝、東京を出て、岐阜から郡上行きの高速バスに乗りかえ、ここに着いたのは、もう夕暮れに近い頃でした。
よく言われている通り、郡上はとても水のきれいな町です。

町の中心を流れる吉田川の清流を中心に、町中には縦横に水路が張り巡らされています。

その中でも、最も有名なのが、宗祇水。
町なかから宗祇水のちょうちんをくぐって、吉田川の河岸へと坂を下ると、小駄良川との合流点付近に小さな祠から湧き出ている水源に行き当たります。



それが宗祇水です。
宗祇水は、全国名水百選の第1番に選定された名水。名前は室町時代の連歌の名人・飯尾宗祇がこの泉近くに草庵を結び、湧水を愛飲したことに因(ちな)んでいます。
町の誰かのものでしょうか、スイカがひとつ、冷やされています。

日が暮れてくると、町の人々、そしてたくさんの観光客がポツリポツリと町なかに出てきます。

今日は8月12日、納涼祭といって、明日からの盂蘭盆会徹夜おどりの前夜祭のような日です。
郡上おどりが本当に盛り上がるのは、やっぱり13日から16日まで続く、4日間の徹夜おどりなのでしょう。会場の城下町プラザにも今日はまだのんびりとした空気が漂っています。


少し短くなった夏の日が、ちょうどとっぷり暮れる頃、おどりが始まります。

“郡上のナァー 八幡 出ていく時は
雨も降らぬに 袖しぼる”
三味の物悲しい旋律に、太鼓に笛の音。
響く手拍子、げたの音。
思った通りの、郡上八幡の夏でした。
そんなことを考えていたら、なんだか胸がいっぱいになりそうになって、おどりの輪を外れ、再び町なかを歩いてみます。
いつの間にか川畔には小さな明かりが無数に灯されて、まるでどこか違う世界へと紛れ込んでしまったかと錯覚するほど、不思議な空間が広がっています。


同じように賑やかな郡上踊りの輪から外れ、ひとりぽっちでいつまでも橋の上に立ったまま、旧盆の宵の生暖かい風に身を委ねている浴衣姿の女性がいました。
その後ろ姿はこの世のものとは思えないほど幻想的な光景でした。
「踊らないんですか?」
「人混みが苦手なの。でもお祭り囃子が好きなので、この場所がちょうどいいのよ」
「そうなんですか。みんなここには踊りに来るのかと思ってた…」
「私もここでお囃子に合わせてひとりで踊ることもあるのよ。そうだ、ここで一緒に踊りましょうか?」
風の悪戯で、ときおり彼女の浴衣の襟元あたりから懐かしい香りが漂ってきます。
それはまるで僕を17歳の夏休みにタイムスリップさせてしまうような。
遠くで聞こえていた祭り囃子が少しずつ大きくなってきているようです。
でも、踊りはまだ、始まったばかりです。
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