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JR代行バス、国道6号帰還困難区域へ【福島県浜通り/気仙沼番外編‐1】

 2016-01-05
仙沼の帰り、仙台を経由してこの日泊まったのは福島・浜通りにある相馬。
相馬駅前のホテルで1泊して、茨城県の日立のある場所に行くために、翌日はここから浜通りを南下することにしていたのです。

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震災の津波による影響で、常磐線の宮城県・浜吉田駅からこの相馬駅までは現在も不通になっていて、JRの代行バスが走っています。
僕は前夜仙台から直通する高速バスを使ったので、この代行バスには乗らずに到着したのですが、駅名標も相馬から北方面はテープが貼られています。
ここから南に20キロほど先の原ノ町駅までは常磐線が運行していますので、相馬発の始発電車でまずは原ノ町まで向かいます。

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原ノ町は南相馬市の中心で、震災以前は上野からのひたち号が何本も発着した駅でもあり、駅舎にも風格が漂っていますが、現在は相馬までの普通電車が1時間に1本程度発着するだけになっています。
この原ノ町から南方面の常磐線は、福島第1原発事故の影響で、今もなお不通のまま。

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駅の構内にあるひたち号の車両。
原ノ町始発用の車両だったのでしょうが、震災で線路が閉ざされ、上野にも仙台にも回送することができないため、あの日からずっとこの場所に留め置きされているのだと思います。

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ここから先の区間は、福島第1原発のすぐそばを通るため、この常磐線はもちろんのこと、並行する国道6号も長い間不通の状態が続いていたのですが、2014年9月に自動車で通過する場合のみ、という条件で一般の通行が解除されたのです。
それを受けてJR常磐線の代行バスが、この国道6号を1日2往復のみ運行されることになったため、今回はこの代行バスで不通区間の南端、竜田駅に向かいます。

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代行バスにはドライバーの他、年配の女性のバスガイドも乗務しています。
放射線量の高い区間を走るため、万一なにかが起こった時に対応できるための措置なのかもしれません。

このバスは途中での乗降やトイレ休憩はできません、とガイドさんが出発前にトイレを済ませるよう案内をしています(バスの中にもトイレはあったのですが)。
そして絶対に窓を開けないように注意してください、とも。

バスの乗客は15人くらいでしょうか。
学校の先生ふうな男性、初老の女性、30代の主婦ふう、若い学生ふうの男の子、とさまざまなタイプが乗っていましたが、若干作業員ふうな男性が多いような気もします。

観光客が興味本位で乗るような雰囲気のバスではないので、僕は一番後ろの席に座ります。
写真をバチバチ撮るのもはばかられるため、シャッターの音を消して、記録のための必要最小限にとどめます。

原ノ町を出てしばらくは、普通の地方都市の郊外の幹線道路と変わらない風景が続いていましたが、海岸線に近くなるとまわりの風景が変わってきます。

まず道が渋滞し始めて、工事車両のトラックが目立ってきます。

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原発事故に埋もれがちですが、このあたりも津波で大きな被害を受けた地域のため、三陸湾岸と同様に、いたるところで復興工事が続いています。

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ここから先は放射線量の大きさによって「避難指示区域」とされ、放射線量の少ない地域から「避難指示解除準備区域」、「居住制限区域」「帰還困難地域」と3段階に分かれています。

国道6号線の少し東側に見える小高駅。
南相馬市小高区と言われているこの地域(合併前の旧小高町)は「避難指示解除準備区域」とされていて、将来的には帰還が可能な地域として現在準備が進められています。域内に入ることはでき、日中は商店などを開くこともできますが、現在は特別な許可がなければ自宅などに泊まることはできず、3段階のうちのもっとも深刻度は少ないながら、いまだ全住民の避難生活が続いています。

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ごくまれに見かける人影は、作業員の方々がほとんどです。

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同じく避難指示解除準備区域の浪江町を通り、双葉町に入ると最も深刻度の高い「帰還困難地域」へと変わります。
ここから先は関係者以外の立ち入りが禁止となり、国道6号線上も駐停車禁止、すべての横道にもバリケードが張られ、入ることが許されません。

双葉町から大熊町に入るとすぐに福島第1原発への分岐道が現れました。
このあたりから福島第1原発までの最短距離、約2キロなのだといいます。
双葉町、大熊町は大部分が現在もこの帰還困難地域に指定され、解除のメドが立たないため、住民が住み慣れた町に戻ってこられるのは、いつになるのかわからないのだそうです。

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大熊町を過ぎ、富岡町に入ると途中から「居住制限区域」となります。ここは将来的に住民の方が帰還できることを目指して整備を進めている地域。特別な許可がなくとも入ることはできますが、住むことも泊まることも(復興作業に必要なガソリンスタンドなどの一部の例外を除いて)商売をすることもできない区域です。

恥ずかしながら、ここを通るまでは、「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」「帰還困難地域」の違いもわからず、福島の人は大変なんだろうな、となんとなく思っていただけだったのですが、やはりこうして実際に目にしてみると、自分の認識の甘さを痛感します。

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もうすぐ戻れそうな人、将来的に戻れそうな人、将来も戻れないかもしれない人。
同じ浜通りの地域でも、場所によってその困難度が大きく違っていたのです。


原ノ町を出て約1時間、常磐線の列車が復旧運行している竜田駅に到着します。
代行バスのダイヤは渋滞を考慮して所要1時間25分で組んでありましたが、この日はさほど渋滞することがなかったようで、かなり早めに到着しました。

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駅の構内に入ると、ホームはこんな姿になっていました。
列車が通ることのない1番線、2番線の線路の上は通路でふさがれています。

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竜田駅から北側の原ノ町方面を望みます。
写真ではわかりにくいのですが、列車の走らなくなった線路は、4年半の間に雑草で覆い尽くされています。

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竜田駅の周りには小さな集落があり、普通に人が住んでいますが、駅舎の中にはこんな放射線量の検知器がありました。

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いわき方面からの列車が到着すると、こんな小さな駅にしてはびっくりするくらいの乗客が降りてきて、駅の北側にぞろぞろと歩いていきました。
駅から少し離れた空き地には大型バスが数台停まっていて、彼らを乗せたバスは(おそらく)避難地域のほうへと次々に出発していきました。

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折り返し竜田駅発の列車に乗って、日立方面へと向かいます。



<2015年11月16日(月)訪問>




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