旧東海道 丸子宿〜藤枝宿 【東海道テキトー完歩の旅1-2】
2014-08-14
<前編> 東海道テキトー散歩1 府中宿~丸子宿
とろろ飯を食べて、400年前の旅人と同じ気分になったつもりで、いよいよ宇津ノ谷峠に挑みます。

だんだん谷が狭くなってきて、旧東海道と離れて並走していた国道1号が寄り添うような形で近づいて来ます。
峠の手前に道の駅があり、そこから国道1号はトンネルで峠の下を藤枝側へ抜け、旧東海道は山道をのぼっての峠越えとなります。

下は国道1号の下り線のトンネル、平成に新しく掘りなおしたもので、通称「平成のトンネル」と言われています。

すぐ横に国道1号上り線のトンネル「昭和のトンネル」もありますが、旧東海道散歩の人は、もちろんこんなところは通ってはいけません。
テキトー散歩ですが、おさえるところはおさえないと、弥次さん喜多さんに顔向けできません。
と言ってはみたものの、実は今回、旧東海道ウォーカーにほどんど会いませんでした。
真夏なので普段からこの時期にはいないものなのか、それとも台風の影響でみんな自粛しているのかわかりませんが、途中、それらしき人にすれ違ったのは1回だけでした。それも地元のおっちゃんなのか、東海道ウォーカーなのか微妙な感じでしたが、すれ違いざまに「こんにちは!」と元気よく挨拶されたので、同類ということでカウントしました。
歩き始めた直後は、横浜からやってきた旧東海道ガール(32歳独身、普段は外資系金融機関勤務)から、峠の茶屋かどこかで期せずして声をかけられちゃったりしたら困っちゃうなあー、と思っていたので、まったくもってひと安心です。。。よかったよかった。
旧東海道ウォーカーを見ない代わりに、旧東海道サイクリストには何度か会いました。
たいていは単独♂なのですが、1組だけ家族3人のチャリンコファミリーがいました。
僕と同年代か、ちょっと若いくらいのお父さんと小学校高学年くらいの女の子、ジムにでも通い詰めていそうなスレンダーなお母さん、というラインナップです。
その格好からすると、普段からこうして3人でサイクリストとして活動しているような感じがします。おそらく旧東海道も今回だけでなく、定期的に少しずつ走破しているのではないかと思います。
この3人が、とろろ屋を出たあたりから僕とつかず離れず、ずっと同じペースで巡っているのです。
もちろん移動するスピードが違いますので、彼らはいろいろなところで寄り道しているのでしょうが、さすがに何度も顔を合わせるとちょっと気になります。
体型だけ見るとあまりサイクリストとは言い難いお父さんなのですが、一丁前に無線機を腰に装備していて、先陣を切って走り、後を走る二人にあれこれ指示を出しています。
小6娘(たぶん)は、お父さんのむちゃぶり(たぶん)に健気に応えて一生懸命頑張って後を追いかけていますが、スレンダー母は、あまりお父さんの指示を聞いている様子はなく(たぶん)、ややうんざりした感じで最後尾から二人に遅れてついて行っています。
そのお母さんが僕と交わるたびに会釈をするのです。
うしろから僕を追い抜く時に会釈。
彼らが道中で止まっている時に僕が横を通り過ぎると会釈。
再び僕を追い抜きざまに、スピードを緩めてわざわざ振り返って会釈、微笑、そしてウインク・・・(これはウソ)。
そうか、ロマンスは旧東海道ガール32歳独身外資系金融機関勤務と生まれるのではなくて、このスレンダー母と生まれることになっていたのか、と思ってしまうほどです。
まあ、結局何もありませんでしたが。
・・・・・・・・さて、本題に戻ります。
トンネルで峠を貫通してしまう国道1号を横目に、旧東海道はゆるやかに坂を登りながら宇津ノ谷の 集落に入ります。

この集落がまた雰囲気があるのです。石畳なども含めて旧街道らしい町並みに多少は揃えて改築されているのでしょうが、妻籠とか馬籠といった観光地に比べて自然体なのがいいのでしょう。あるいはこの坂と峠の山の配置のバランスもいいのかもしれません。

坂の上からの集落全景。

坂を上がり切ったところからさらにその奥に続く階段でまっすぐに進みます。

右へまがる道を進むと大正のトンネルを経て峠を抜けます。
まっすぐ進んだ先に明治のトンネルが現れました。


名前の通り、明治の時代にできたトンネルですが、ご覧のとおりとても狭いトンネルです。車一台が通るのもやっと、という感じですので、今は車両は通れません。
自転車はどうなんでしょうか、この時はチャリンコファミリーが僕のすぐあとに来ていましたが、僕がトンネルを歩いている間は会いませんでした。
大正のトンネルには行きませんでしたが、そこは車も通れるようです。
明治、大正、昭和、平成と4世代のトンネルが残っている珍しい場所なのではないか、と思います。
ところで明治以前はどうしたか、というと、さらに山を登って歩いて越えていたのです。
厳密な旧東海道散歩なら歩いて越えないとアウトですが、僕のはテキトー散歩なので明治のトンネルで峠を越えてしまいます。
だってこの明治のトンネル越えも今回の散歩の目的の一つだったのですから。
トンネルの長さは2〜300mでしょうか、幸いにして誰もいないトンネルを独り占めしてゆっくり歩けました。
中はレンガづくりです。


ところどころに電燈がありますが、真ん中あたりは一時的にけっこう暗い部分もあるので、肝試しするほどではありませんが、プラトニックを卒業したいカップルが一緒に歩く場所としてはいいかもしれません。

藤枝側出口付近。



古いトンネル、いいですね。古いトンネルマニアになってしまいそうです。
トンネルで峠を越えてしまうと、山道をズンズン下って岡部川沿いに出て、しばらく川沿いを歩きます。
長い釣竿を持ったお父さんを、小さな男女の兄弟が小走りに追いかけています。
ずっと昔にみたことがあるような、平和な夏休みです。
途中で見かけたホーロー看板。

平野部に出たところで旧岡部宿に入ります。
岡部本陣跡の公園。

ここのベンチで休憩します。
15時30分。静岡の駅を出てから4時間半が経過しています。
とりあえず、宇津ノ谷峠のハイライトを越えて岡部まで行ってしまえば、そこから先は雨が降ったらバスで藤枝まで行ってもいいや、と考えていたので、いったんひと安心です。
岡部の次の宿場は藤枝。しかし実はここからが長いのだ、と久住さんの本にありました。
さてどうするか。
カラダは少し疲れていますが、暑さはそれほどでもなく、天気ももう少し持ちそうです。
まあ行けるところまで行ってみよう、ということで16時に再出発しました。
ここから先は、ハイライトとなるようなスポットがあるわけでもなく、淡々と歩を進めます。
岡部の町並み。

歩いてきた道、越えてきた山々。左が旧東海道。

藤枝のマンホール。

旧藤枝宿があった藤枝の中心部に到着したのは17時15分、岡部を出て1時間15分後でした。

アプリで計測中の歩いた距離を見てみると、26.2km。
静岡駅から藤枝駅までなんとなく24~25㎞くらいだろうと思っていたので、もうすでに予定距離をオーバーしています。
さすがにかなり疲れてきて、カラダが自然とバス停近くのベンチに腰かけてしまいます。
しかもゴールにしている藤枝駅はこの藤枝中心部からかなり離れていて、まだ4~5km先にあるようです。
そんなの藤枝駅を名乗っちゃいかんだろう、と思いますが怒っても駅が近づいてきてくれるわけでもありません。
15分休んで、最後の力をふりしぼり商店街を南へと歩きます。
こういうのを見ると、ちょっと元気になります。
そういえば、サッカー名門の藤枝東高校も近くにありました。

こんなのも、疲れた体をちょっとだけほぐしてくれます。

駅の手前から雨が降りだしましたが、ここまで来てしまえば、もう多少濡れても大丈夫です。
そして18時20分、とうとう藤枝駅に到着しました!

アプリの距離計測だと30.24km、所要6時間31分59秒(休憩時間除く)、消費カロリー1653カロリーとなっていました。
人生でおそらく2番目に長い距離を歩いた1日でしたが(最長は約35km)、終わってみればとても楽しい1日でした。
これはクセになる、というか、藤枝駅に到着したとたん、もうすでに旧東海道全行程を制覇してやろう、という気になっていました。
というわけで、日本橋から京都の三条大橋まで約492㎞、53の宿場町をちょこっとずつ歩いて踏破してみようと思います(一応、宣言です)
なのでこのシリーズのタイトルも「東海道テキトー散歩」から、「東海道テキトー完歩の旅」に変えようと思います。
といってもこれに集中するわけでもなく、たまたま西に行く旅の途中で、とか、たまたま2日間ヒマな時間ができたので、とか、そんなユルい感じでやってみます。歩く順番もまちまちです。あんまり厳密なルールも決めません。だってテキトー完歩ですから。
なので何年かかるかわかりません。
とりあえず今回(第1回)の成果
府中宿~藤枝宿 19km/512kmを制覇!(寄り道を除く。また実際は藤枝宿から先の区間も一部歩いていますが、それは次回の分に算入します)

<おまけ>
あべかわもちは結局道中では食べる機会がなかったので、ホテルまで持ち帰り、夜食として食べました。
ビニール袋にぶら下げられたまま、手持ちで移動したため、かなり疲れた姿になっています。

きなこには砂糖が入っておらず、袋入りの砂糖が添えられ、自分で甘さを調整できるようになっています。
こちらではみんなそうなのでしょうか、僕には初めての食べ方でした。

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